商品ブランディングは、競争の激しい市場で成功するために必要不可欠な要素です。その基盤となるのが、ロゴデザインです。この記事では、他商品や他店と差別化を計る効果的なロゴデザインが、市場における際立った存在感を、どのように生み出すかについて探っていきます。
まずは、京都のカフェ&シェアキッチン「SHELTERING CAFE」 のロゴを例として詳細を説明させていだきます。
こちらのロゴは、「世界各国から厳選した新鮮な7種類の豆を使用したコーヒーを、気さくな店主と「雨宿りする」感覚で気軽に楽しめるカフェ。」という架空のストーリーからなる雑貨から生まれました。
雨が降っている様子を7つの珈琲豆で表現し、雨宿りするようにゆっくりくつろいで欲しいという思いでデザインしました。
店名のフォントは、パソコンのフォントではなく、アルファベットの書体集『モンセン・スタンダード欧文書体清刷集』という紙の本の書体集をスキャンして、一文字一文字トレースして作成しております。また、こちらのフォントはチラシやメニューなど、全ての印刷物で統一しております。
この書体集はDTP普及以前のデザイン制作には欠かせなかったアイテムであり、いまだデジタル化されていない書体も含まれており、パソコンのフォントとはまた違った味わいがあります。
ロゴは印刷物だけではなく、カフェの内装にもこだわって反映しております。象徴的であるカフェカウンター後ろのタイルには、ロゴの珈琲豆と同じ高さや配置で構成し、さらに、カウンター上のクッキーや焼き菓子を照らす、アンティークな照明の高さや配置も共通してデザインしております。
以上、実際の制作事例を用いてご説明させていただきましたが、下記にてさらに詳しく説明させていただきます。
ロゴは単にかっこいい、かわいいなど見た目だけではなく価値観やストーリーなど、アイデンティティを確立するのに非常に重要な役割を担ってます。
CONTENTS
(1)商品ブランディングとは
商品ブランディングとは、商品に特有の価値やイメージを構築し、顧客に強い印象を与えるプロセスです。ブランディングは単なるロゴだけでなく、そのロゴが象徴する価値観やストーリーも含まれます。
(2) ロゴデザインの役割
ロゴは商品やブランドの顔とも言える存在です。顧客は視覚的な印象からブランドを判断することが多いため、ロゴデザインはそのブランドの第一印象を形成する役割を果たします。
(3)ロゴデザインの要素とその意味
・カラーの選定
色は感情や印象を引き起こす強力なツールです。例えば、赤は情熱やエネルギーを、青は信頼感や安定をイメージさせます。選ぶ色にはブランドのコンセプトに合った意味があることを忘れずに。
・フォントの重要性
フォントはブランドの雰囲気やスタイルを伝える手段です。手書き風のフォントはカジュアルさを、セリフフォントはクラシックさを表現します。フォント選びにもブランドの個性を反映させましょう。
・アイコンやシンボルの活用
アイコンやシンボルは視覚的に記憶されやすく、ブランドの特徴を印象づける手助けになります。ただし、ブランドのストーリーやメッセージと一致していることが大切ですので、十分吟味しましょう。
(4)ターゲットオーディエンスの考慮
ロゴデザインはターゲットオーディエンス(ブランドに興味を持つ人)に訴求することが重要です。そのデザインが顧客層の好みや価値観に合致しているかどうかを考慮しましょう。
(5)競合との差別化
類似する商品が溢れる市場において、独自性を持ったロゴデザインは競争上の優位性を確立します。競合との差別化を図るため、他社とは異なるアプローチや独自のブランド背景を取り入れましょう。
(6)感情の呼び起こし
人々は感情に訴えるストーリーに惹かれます。ロゴデザインを通じてブランドのストーリーや価値観を伝え、顧客の感情を呼び起こすデザインを心がけましょう。
(7)シンプルさの重要性
複雑すぎるデザインは視覚的な混乱を招く可能性があります。シンプルながら印象的なロゴは覚えやすく、長期間にわたって効果的にブランドを支えます。
(8)ブランドメッセージの統一
ロゴはブランドのメッセージを視覚的に表現する手段です。ブランドのビジョンや使命と一致するデザインを作成し、統一感を持たせることが重要です。
(9)ロゴデザインの作成方法
・自身で制作 vs プロのデザイナーに依頼
予算やデザインの知識に応じて、ロゴデザインを自身で制作するか、プロのデザイナーに依頼するかを検討しましょう。プロのデザイナーは豊富な経験や技術から、ブランドに適したデザインを提供してくれます。
・クラウドソーシングの利用
予算を抑えるための手段として、「ココナラ」や「ランサーズ」など、クラウドソーシングを利用することも一つの方法です。ただし、依頼するデザイナーによっては意思の疎通が上手くいかず、独自性や希望に沿ったロゴデザイン作成が難しい場合もあります。
(10)ロゴデザインの成功事例
①Apple
世界的に有名なアメリカのテクノロジー企業。アップルのロゴはその歴史においていくつかのバリエーションがありましたが、最も有名なものは「噛まれたリンゴ」のデザインです。
【デザインと意味】アップルのロゴは、象徴的な意味を持っています。デザインはリンゴをモチーフとしており、その一部が噛まれている様子が描かれています。このデザインは、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズが果物のようなシンプルで親しみやすいデザインを好んだことに由来しています。
【歴史】初期のアップルのロゴは、アップルの名前を取り入れたものでしたが、1977年に噛まれたリンゴのロゴが登場しました。このデザインは、特に色彩的な印象が強く、その後もアップルのブランドイメージの一部として定着しました。
【カラー】アップルのロゴは、最初は多彩な虹色のストライプで描かれていましたが、1998年にモノクロのシルエットに変更されました。これはアップルの製品ラインが多様化し、ブランドメッセージをシンプルかつクリーンに表現するための変更でした。
【変遷】ロゴは時折微調整されながらも基本的なデザインは変わらず、アイコニックな存在となりました。近年では、フラットデザインのトレンドに合わせて、より単純化されたバージョンが使用されています。
②NIKE
世界的なスポーツ用品ブランド。NIKEのロゴは、「スウッシュ」(Swoosh)と呼ばれるアイコニックなデザインが特徴で、そのスウッシュだけでも広く認知されています。
【デザインと意味】NIKEのロゴは、翼を広げた勝利の女神であるニケ(Nike)に由来しています。デザインは簡潔ながらも流れるような動きを感じさせ、速さ、運動、進化を象徴しています。スウッシュのデザインは、スポーツにおける勝利と成功の意味を込めています。
【デザイナー】NIKEのロゴは、キャロリン・デイヴィス(Carolyn Davidson)というポートランド州立大学の学生がデザインしました。彼女は1971年にナイキの創業者であるフィル・ナイト(Phil Knight)からロゴ制作の依頼を受け、スウッシュのデザインを提案しました。
【歴史】最初のスウッシュのデザインは、単一の線で描かれたもので、シンプルながら強力な印象を与えました。後に微調整が加えられ、現在のようなスムーズなカーブとなりました。
【カラーパレット】NIKEのスウッシュは、通常はブラックや白で描かれますが、ブランドキャンペーンや特別なイベントに合わせて異なるカラーバリエーションも使用されることがあります。
【ブランドの象徴】NIKEのロゴは、スポーツ、アスリート精神、勝利への渇望などを象徴する重要な要素となっています。そのシンプルなデザインは、広告や製品においても強力なインパクトを持ち、世界中の人々に親しまれています。
③Supreme
Supreme(シュプリーム)は、ストリートウェアブランドとして知られるアメリカのファッションブランドです。Supremeのロゴは、そのブランドアイデンティティとカルチャーの象徴として若者から絶大な指示を集めています。
【デザインと意味】Supremeのロゴは、シンプルなデザインで、赤地に白抜きの「Supreme」の文字が記されている通称ボックスロゴが特徴的です。フォントは力強いサンセリフを採用し、少し斜体がかかってます。ファッション、ストリートカルチャー、アーティスティックな要素を組み合わせたもので、特に若い世代に支持されています。
【歴史】Supremeは1994年にアメリカのニューヨークで創業されました。その初期の頃から、Supremeのロゴはそのブランドの中核を成しており、その特異なデザインはファンに広く親しまれました。
【ブランドの象徴】Supremeのロゴは、ストリートウェアとカウンターカルチャーの象徴となっています。ブランドはアパレル、アクセサリー、スケートボード用品などを提供しており、その製品は限定品やコラボレーションによる人気などが要因となり、カルチャーとファッションで非常に重要な位置づけとなっております。
【限定性と人気】Supremeは限定品のリリースやコラボレーションを通じて独自のカルチャーを築き上げました。新商品のリリース時には長い行列や即完売が相次ぎ、その希少性がブランドの魅力をさらに構築しております。
【コラボレーション】Supremeは他のブランドやアーティストとのコラボレーションも行い、そのロゴをベースにしたアートワークやデザインが生まれています。これにより、Supremeはファッションとアートの融合を体現しています。
(11)ロゴの進化と柔軟性
ブランドは成長し続けるものです。そのため、時代の変化に合わせて、ロゴデザインも時折アップデートすることが重要です。しかし、過度な変更はブランドの一貫性を損なう可能性があるため、適度な柔軟性が求められます。
(12)ロゴの活用方法
・パッケージデザインへの統合
商品のパッケージデザインにロゴを配置することで、ブランドの統一感を高めることができます。消費者は商品を識別する際に、ロゴを頼りにします。
・ソーシャルメディアでの活用
ロゴはソーシャルメディアでのプロフィール画像や投稿に使用されることが多いです。シンプルで視認性の高いロゴデザインは、オンライン上でのブランド認知度を向上させます。
(13)ロゴデザインのアップデートとブランド成長
ブランドが新たな方向性を追求する際には、ロゴデザインのアップデートも検討すべきです。成長するブランドの姿勢や価値観を反映するデザインに更新することで、ブランドの進化を表現します。
商品ブランディングの第一歩としてのロゴデザインの重要性は計り知れません。この記事が効果的なロゴデザインの構築に役立つ情報を提供できれば幸いです。ロゴがブランドのアイデンティティを象徴する重要な要素であることを忘れずに、ターゲットオーディエンスに訴求する力強いロゴデザインを完成させましょう。
チバデザインでは、商品ブランディングの第一歩として非常に重要な、ロゴデザインを得意としております。その他、ショップイメージグラフィックス一式を受け賜っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
実際に携わったカフェ&シェアキッチン「SHELTERING CAFE」のビジュアルブランディング及びショップイメージグラフィックス一式を担当させていただきましたので、詳しくは「架空のストーリーから生まれたカフェ&シェアキッチン」をご覧くださいませ。